【Marriott】シェラトン・ムスティカ・ジョグジャカルタ(Sheraton Mustika Yogyakarta)宿泊記。

飛び石連休の中国新年。どこに行こうか思案していたが、ここ最近バリ島ばかりで、2月にブリトゥン島とマナドに行く予定があることから、海ばかりというのもどうかと思い、たまには都市観光ということで目的地をジョグジャカルタに定めた。

インドネシアのマリオットホテル全制覇という隠れた目標があるので、そういう意味でもしばらく訪れていなかったジョグジャカルタは距離も近く気軽に行ける。

ジョグジャカルタにはマリオット系列のホテルが2つある。一つはジョグジャカルタ。マリオットホテル(Yogyakarta Marriott Hotel)、そしてもう一つが今回宿泊したシェラトン・ムスティカ・ジョグジャカルタ(Sheraton Musutika Yogyakarta)である。

双方ともカテゴリー2のため、ポイント泊だと12,500/泊となる。一方で有償宿泊となると、マリオットホテルが1泊約1.5Jt(約12,000円)なのに対し、シェラトンは1泊約850rb(約7,000円)と倍近く値段は異なる。ただマリオットホテルは2017年オープンの新しいホテルで、シェラトンは1997年オープンのため20年以上経過していることも加味しなくてはならない。

シェラトンは以前はカテゴリー1だったのでポイントでも有償でもお得感があったのだが、カテゴリー2になり比較対象が新しいマリオットホテルだと正直厳しいところがある。本来はそういった点を吟味するべきだったのだが、「あっ、シェラトン安いやん」で予約してしまった。

ホテルへチェックイン

2020年に開業したばかりのジョグジャカルタ国際空港(新空港:YIA)に降り立ち、間引きされた空港鉄道のスケジュールに唖然としながら、国鉄ジョグジャカルタ駅に着いた。名物マリオボーロ通りを少し散策した後、12時過ぎにホテルへ向かった。

早すぎるのは分かっていたが、事前にオンラインチェックインで到着予定時間は伝えていたし、部屋が準備されるまでラウンジで待つつもりであった。

チェックイン時、ウェルカムギフトはポイントか朝食かと聞かれた。プラチナメンバーならラウンジアクセスあるのでポイント以外の選択肢はないのだが、レストランのほうがラウンジよりメニューが豪華な場合もあるので違いは何かと問うてみた。そしたら違いはないだってさ。それで朝食を選択肢として提示するのもどうなのだろうか…。

部屋が準備されるまではレストラン『Androwino Bistro』で待っていてほしいと伝えられた。どうやらクラブラウンジが仮クローズ中で、Androwino Bistroもしくは隣の『The Tasty Box』がラウンジの代わりを担っている。

ちなみにパブ『Suko Wine Lounge』もクローズ、インド料理『Ganesha Ek Sanskriti』はオープンしているようだった。

ジョグジャカルタ名物の「Gudeg(グデグ)」

Androwino Bistroのラウンジ機能は朝および夜のみで、昼はコーヒーと簡単なスナックがあるだけ。小腹が空いていたので、アラカルトメニューからジョグジャカルタ名物の「Gudeg(グデグ)」を試してみることにした。グデグは、若いジャックフルーツをココナッツミルクで煮込んで作るジャワ料理だ。

前情報を全く持たず、ただジョグジャ在住歴のある知人から「ジョグジャ名物といえばグデグ」と聞いていたので注文してみたのだが、料理を見た当初は「なるほど、インドネシア料理にありがちなアヤム(鶏肉)か」と思っていた。

あとから調べると、アヤムの両隣にある茶色いのがグデグであると知った。左側はかなり柔らかく煮込まれており、はんぺんか上等なステーキの脂身のような食感だった。不思議な食感に少し戸惑ったが、味付けとしては塩っぽく、ナシ(白米)やアヤムとの相性はよかった。一方、右側の卵とあえられているグデグは、コーンビーフのような食感でありながら甘さがあり、あまりナシやアヤムとはマッチしなかった。

グデグ自体が美味いかと聞かれると「それはない」であり、あくまでナシやアヤムのお供といった感じなのだろう。シェラトン価格でこれは90rbだったが、普通に店で食べればもっと安い。あと右上に添えられているサンバルがめちゃくちゃ辛かった。

1ベッドジュニアスイートの印象

グデグを食べ終わった頃、部屋が準備できたと告げられた。今回は有償で最安部屋を予約し、SNA(スイートナイトアワード)が余っていたので1キングベッドジュニアスイートへのアップグレードを申請していたのだが、前日になっても返事が来ない。SNAでもプラチナベネフィットでもどちらでもいいのだが、スイートへのアップグレードがなければ宿泊取りやめも考えていたので、ホテルにチャットしてみたところ、プラチナベネフィットとしてのアップグレードを適用してくれた。

7階にロビーがあり、客室はそれより下、1階にプールがあるという構造のホテルにおいて6階の部屋は最高層になるのだろう。それも角部屋。もっともジュニアスイートは角部屋しかないのだが。

入室して最初の感想は「ボロい」。ホテルには申し訳ないが、これに尽きる。

USBポートがないのはまだ許せるが、使えそうなコンセントが全くない。ベッドルームは、ビジネスデスクの上に1つとベッドサイドに1つずつ、それにテレビのものを流用すればある程度は賄える。しかしリビングルームに使えそうなコンセントが全くない。ソファ脇のランプのコンセントがあるが、ランプを消すと部屋が暗い。

あとは床が傷だらけであったり、ベッドシーツにボールペンの跡があったり、エアコンが見るからに旧式タイプであったり、ベランダが極端に狭かったり、部屋の中に虫が多かったり、愚痴を並べればきりがない。

バスルームも無理やり押し込んだようなバスタブから出る水は少しくすんで見える。アーリーチェックインだったので急ごしらえで部屋を用意してもらったのはありがたいが、バスルームにバスタオルやバスマットが一切なかった。電話で持ってきてもらうように伝えようとしても、電話がただの電話で、レセプションへのコール方法などが一切書かれていない。「多分0押したらつながるだろう」と思ったら、本当につながったのでバスタオル等を依頼するも、2回電話でフォローアップするまで届かなかった。

ただ、ホスピタリティーが悪いというわけではなく、随所に熟練されたスタッフはいるように見受けられた。フロントやラウンジ(レストラン)スタッフも含め人手が足りていないというよりかは、新人が多くてまだ満足に動けていないという印象だった。

ファシリティの評価

部屋でも経年劣化を感じたが、ファシリティにおいてもそれを感じざるを得なかった。遠くから見えれば緑豊かなガーデンに、味わいのある遺跡風プールに見られる。ただ近くによればプールサイドに置かれたデッキチェアはささくれが多く、プールサイドではローカル向けホテルでよく流れているような音楽が鳴り響いている。

寂れたテニスコートを見たとき、ふと日本の各地にある寂れた温泉街を思い出した。改修する余裕もない旅館は経年劣化で建物ごとボロくなっていき、館内設備は古びたゲームコーナーと卓球台。なんというか、このホテルにおいてもそういったイメージが想起されてしまった。プールは、床面の色が反映されているだけで水が汚いわけではないのだが、雰囲気的にそう見えてしまうのがなんだかもったいない。

ラウンジ飯と朝食

クラブラウンジが開いていないのは残念だったが、ラウンジ代わりのレストランで提供されたものについては及第点だった。コーヒーと水、それに簡単なカップケーキはプラチナメンバー以上なら終日コンプリメンタリーとして提供される。ただコーヒーがどうにもあまり美味しく感じられなかった。

夕方は17-20時がラウンジ飯の提供時間になる。ビュッフェ形式ではなく、オーダー形式だがメニューがあるわけでもないので頼みづらいのは否めない。とりあえず今晩のおすすめをということでパスタとエビ卵が出てきた。これらは美味しかったが、一緒に出てきたケーキは、部屋に置いてあったウェルカムデザートと同じものだった。赤白ワインはあるがスパークリングワインがないなど、一歩足りない。

朝食についてはあまり期待していなかっただけに、意外と種類があるなという印象である。ケーキ屋?パン工房?が併設?されているからか、パンやケーキの種類については目を見張るものがあった。さらいエッグベネディクトについては、まるで遺跡をモチーフしたかのような盛り付けで、卵のトロトロ具合も完璧だった。エッグベネディクトのレベルだけでいえば、かなり高い。

まとめ

開業年数によるハード面の評価はやはり低くならざるを得ない。以前宿泊したランプンのシェラトンを彷彿させられた。そういう意味では、「グランド」が付かないシェラトンというのはこういうものなのかもしれない。

部屋のボロさについては、バリ島のウェスティン・ヌサドゥアラグーナ・ラグジュアリーコレクションも似たような感じであったが、あちらはビーチサイドであったり特徴となるプールがあった。あるいはアンコールワットのル・メリディアンも似たような、古いホテルで特徴あるプールが目玉といった感じだったが、あちらのほうがまだ綺麗でプールも楽しめた気がする。

ハード面の改修は客が入らなければ難しいだろうし、ソフト面の充実だけでは集客は難しい。新空港移転により立地のメリットもなくなってしまったので、もしかしたら今後持ち直すことは難しいかもしれない。あるいは恐らくフランチャイズホテルだろうから、別のホテルにリブランドとなるかもしれない。そういった哀愁巡るチャイニーズニューイヤーのステイだった。