【競馬語り】キセキの菊花賞優勝と世界中の競馬場を訪れるという想い

ダリマナ

久しぶりに競馬ネタをひとつ。
10月22日に行われた第78回GⅠ菊花賞、1番人気キセキが見事優勝しました。

NHKで観る競馬中継。年7回のGⅠ放送。

筆者は今年のダービーを最後に、競馬を見ていません。

というのもグリーンチャンネルWebは海外では使えず、日本の番組が見れるようなテレビ契約も特になかったので、ライブで競馬を見る機会がほとんどありませんでした。

しかしそんな中でも、海外在住者が競馬をライブで楽しめる数少ないチャンスがあります。「NHK競馬中継」です。海外衛星放送の「NHKワールドプレミアム」でも放送される競馬中継は、以下の7レースのみ。

  1. 皐月賞
  2. 天皇賞(春)
  3. NHKマイルカップ
  4. 東京優駿(日本ダービー)
  5. 菊花賞
  6. 天皇賞(秋)
  7. 有馬記念

3歳牡馬三冠、春秋天皇賞、有馬記念の八大競走に、自社レース名の付いたNHKマイルカップしかありません。今回の菊花賞は、海外在住者にとっては年に7回しかない競馬中継を観戦できるチャンスだったのです。

エアグルーヴ大好き、ルーラーシップ大好き。

さて、話変わって筆者の一番好きな馬はエアグルーヴです。好きな理由について、興味があればこちらの記事を参照ください。

2年前に直系の孫ドゥラメンテが悲願のダービー制覇をしてくれました。

しかし去年の宝塚記念の後、脚部不安を発症し無念の引退。ドゥラメンテの仔は数年先に持ち越しになる中、今注目しているのは現3歳世代が初年度のルーラーシップ産駒たち

ルーラーシップはエアグルーヴの直仔として、2012年香港のクイーンエリザベス2世カップ(GⅠ)を勝利しました。その他、不良馬場の金鯱賞を快勝したり、秋三冠の超絶出遅れなど記憶にも残る馬でした。サムライハート、ザサンデーフサイチ、フォゲッタブルなどの兄たちはこれといった名馬を出せませんでしたが、GⅠ馬となったルーラーシップには大きな期待が掛かっていました。加えてサンデーサイレンスの血が入っていないルーラーシップは、ディープ牝馬時代と言われる現代において非常に貴重な存在です。

前述の通り、そんなルーラーシップの産駒たちが今年初めて表舞台に登場してきます。アディラートがUAEダービーに参戦し、皐月賞ではダンビュライトが3着。勝ちきれないまでも着々と成績を残してきました。

キセキに注目!

そんな中でも新馬戦を勝った時から今年度のエアグルーヴ系の筆頭として特に注目していたのがキセキ。

2戦目のセントポーリア賞に負け、春は勝ちきれない競馬が続き「そこまででもないのかな?」と思う時もありました。しかし夏の2連勝を経て、GⅡ神戸新聞杯ではダービー馬レイデオロの2着。このレース自体は力の差を見せつけられた感じですが、それでも世代上位の強さはありそう。

有力馬の少ない菊花賞は、かなりチャンスなのではないか??

そう思うようになりました。

菊花賞当日。キセキは一番人気。

台風による大雨が続いており、戦前からの不良馬場それもかなりの極悪馬場と予想されていました。ただでさえ全馬初距離の3000mに加え、どの馬も経験したことのない不良馬場。これでは予想も立てようがないでしょう。

そんな中、皐月賞馬アルアインを抑えて一番人気に支持されたキセキ。しかし、キセキも神戸新聞杯で見せた切れ脚が持ち味と考えられ、不良馬場ではその持ち味が活かされないのではないか?そういった思惑が感じられるように、レースが近付くにつれ単勝オッズも上がっていき、最終的には4.5倍と、押し出された一番人気のような形になりました。

それでも筆者も、GⅠにおいて特に選馬眼の優れる競馬ファンたちが一番人気に支持し、キセキが一番強いだろうという認識に、至極賛成でした。

皐月賞は速い馬、ダービーは運のある馬、そして菊花賞は強い馬が勝つと昔から言われています。一番人気、すなわち強いと思われている馬が、勝つ。

そしてレースの時…。不良馬場を「楽勝」。

当日はシンガポールに旅行に行っており、天空のプールで有名なマリーナベイサンズに宿泊していました。14時(日本時間15時)にチェックインして、部屋について早々テレビをつけます。競馬に興味のない同行者は呆れて散策に出かけて行ってしまいました。

Twitterでも書いたように、キセキはかつて今回の菊花賞のような極悪馬場を快勝したルーラーシップの子供。ならばキセキも不良馬場をこなせるだろうと、妙な自信がありました。

さていざレース本番。

ルーラーシップのような出遅れもなく、道中は後方に付けるキセキ。事前のインタビューで鞍上デムーロは2・3番手に付けたいと言っていましたが、この馬場ではプラン変更もやむなしか。

2周目3コーナーを曲がる時点では、前から潰れていく消耗戦の様相を呈していました。

そして4コーナーを回り、キセキは馬場の消耗が少ないとされる一番大外へ。

直線入り口での伸びはいまいちで、届くのか!?と心配でしたが、なんのその。最後は2着に0.3秒2馬身差をつけて見事優勝。

デムーロ騎手も勝利インタビューで言っていたように、楽勝でした。

なお3着のポポカテペトルは抑えていたものの、2着クリンチャーを買えず、馬券は撃沈。

キセキの今後と筆者の競馬観戦について。

このキセキの菊花賞勝利は、ルーラーシップにとっても自身産駒のGⅠはもとより重賞初勝利でした。エアグルーヴのファンとして、その系譜が活躍することは非常に感慨深いものがあります。

さて、これだけ消耗するレースを走ったことですし、大方の見通しは年内休養で来春から復帰となります。筆者としても秋すでに4戦し、今回のレースの後に有馬記念というのは相当難しいものがあると思います。

菊花賞を観て、キセキの持ち味は末脚と重馬場対応とレースでの精神力と感じました。来年の大阪杯と宝塚記念は阪神内回りで末脚を持ち味とする馬には厳しいレースです。天皇賞春は、血統的に長距離がどうかという心配もありますが、個人的にはアリです。何より前年の菊花賞馬が出ない天皇賞春は面白くありません

その他、父ルーラーシップ同様、海外の競馬場でも強さを発揮できるタイプだと思います。UAEのGⅠドバイシーマクラシック(2400m)や父も勝った香港のGⅠクイーンエリザベス2世カップ(2000m)も選択肢に挙げられるでしょう。

いずれにせよ、ルーラーシップ産駒のフラッグホースとして今から将来が楽しみです。

今回の菊花賞は1番人気での勝利なので「奇跡」ではなく「順当」ですが、いずれはウイニングポストの称号にもある「ロンシャンの奇跡」を襲名してもらいたいですね。

ダリマナ

後年、キセキが凱旋門賞に参戦することになったため、フランス・ロンシャン競馬場まで観戦しに行きました。

さて最後に筆者の今後の競馬観戦について。筆者の人生の夢として「世界中の競馬場を見て回る」というのがあります。ブリーダーズカップからオーストラリアの田舎の草競馬場まで、数は多くないものの色々訪れたことがあります。

今回のキセキは日本の京都競馬場でのレースでしたが、これがドバイやロンシャンで出走となると、ぜひとも見に行ってみたいと思います。そういった形も含めてこれからも世界各国での競馬観戦は続けていきたいし、それが旅のモチベーションにもなります。もちろんNHKで観戦できる日本競馬の良さもありますが、競馬の真の魅力は血統とレースのドラマ

海外在住者として、日本にいた時よりも軽いフットワークを利用して、これからも競馬の旅を続けていきます。