インドネシア第二の都市・スラバヤ(Surabaya)。
工業団地はあるものの、首都・ジャカルタ以上に観光する場所がないため、インドネシア在住者や出張者以外の日本人には中々馴染みのない都市です。
しかしいざぶらぶら街を歩いてみると、人から聞く話だけでは分からない色んなことが分かってきます。
スラバヤってどんな都市?
インドネシアの首都・ジャカルタから東へ650km。ジャワ島の東に位置する東ジャワ州の州都がスラバヤです。人口は約300万人と、ジャカルタに次ぐ人口の多さです。ちなみに300万人というのは大阪市や広島県よりも多い人口です。
オランダ植民地時代から貿易の中心として栄えており、現在でもインドネシア最大の港湾かつ最大の軍港があります。16世紀の明時代から華人が多く移り住んだり、またアラブ系住民も多いので、チャイナタウンやアラブ街もあります。
「スラバヤ」という名前の由来
「スラバヤ」という町の名前の由来は、「SOERA ING BAYA(スラ・イング・バヤ)」で、「健気に危険と戦う」という意味から名づけられたという説があります。
その他、インドネシア語で鮫を意味する「スラ」と鰐を意味する「バヤ」が、この地で最強の動物を争ったという神話に由来しているという説があり、鮫と鰐はスラバヤの市章にもなっています。トップ画も鮫と鰐が戦っているモニュメントです。
スラバヤの歴史
歴史的には1945年日本の降伏後、10月25日に上陸した英軍第49旅団とインドネシア独立派の間で戦闘が発生し、これがインドネシア独立戦争の発端となりました。最終的にインドネシア共和国に編入されたのは1949年のことです。
ちなみにスラバヤは、スカルノ初代大統領の故郷でもあります。
スラバヤへのアクセス
空港は国際線も就航しているジュアンダ国際空港があります。インドネシア国内でもジャカルタのスカルノハッタ国際空港に次いで利用者数の多い空港です。ディレイが当たり前のインドネシアでは俄かに信じられませんが、同規模の世界中の空港の中では最も定時運行率が高い空港としても有名です。
鉄道は中部ジャワのスマランやジョグジャカルタを経由してジャカルタまで繋がっているほか、バリ島とフェリーで連結可能なパニュワンギ行きの列車もあります。
スラバヤ夜の街歩き
今回スラバヤに到着したのは昼過ぎ。なんだかんだホテルでゆっくりしているうちに眠ってしまい、気づいたら夜になっていました。スラバヤの時間はジャカルタと一緒なのですが、東にある分ジャカルタよりも日が沈むのが早く、また日が昇るのも早いです。18時前には真っ暗になり、朝5時には外はもう明るいです。
ホテルのラウンジで軽く食事をとり、まずは外を出歩いてみます。今回最初の宿はJWマリオット・スラバヤで、スラバヤの中でもかなり中心地に近い場所に位置しています。
まず道を歩いていて印象的なのは、歩道が結構広いです。ジャカルタでは目抜き通りのスディルマン通りなんかでも、歩道は人ひとり歩くのが精いっぱいといった歩道の狭さですが、スラバヤの中心街はわりと歩道が整備されており、歩きやすくなっています。
アルファマートとインドマレットが隣り合わせでせめぎ合っているのは、おなじみの光景ですね。特に地方へ行くとこの傾向が高い気がします。
この辺りにはインドネシアでおなじみの歩道橋があるのですが、電飾が施されていたりと、結構派手な歩道橋が多いです。ちなみに歩道橋の案内にCCTV(監視カメラ)があると書いてあったので、これは安全だと思っていたのですが…
見事に監視カメラの中身だけくり抜かれていました。うーん、インドネシア…。
Tunjungan Plaza Surabaya(トゥンジュンガン・プラザ・スラバヤ)
JWマリオット・スラバヤの近くには、スラバヤ最大と言われるショッピングモール「Tunjungan Plaza Surabaya(トゥンジュンガン・プラザ・スラバヤ)」があります。6つのエリア(T1~T6)のある巨大モールから成り立ちます。
SPG系のホテル「フォーポインツバイシェラトン・スラバヤ」「シェラトン・スラバヤ・ホテル&タワーズ」もここに隣接しています。
Gedung Negara Grahadi(東ジャワ州庁舎)
Tunjungan Plazaから5分くらい東へあるくと、これまた電飾豊かで荘厳な建物が見えてきます。これはGedung Negara Grahadi(東ジャワ州庁舎)です。1945年にスカルノ大統領と連合国軍ホートン将軍の会合の場にもなった歴史ある建物です。日中は中を見学することも可能だそうです。
ちなみに昼の様子はこちら。やはり歴史ある荘厳な建物感を醸し出していますね。
Plaza Surabaya(プラザ・スラバヤ)
さらに東へ歩くとPlaza Surabayaがあります。名前から想像するにスラバヤを象徴するモールなのかな?と思いますが、実際はそこまで大きくなく、どこにでもあるような一般的なモールです(笑) Plaza Indonesiaみたいなのを想像しちゃだめです。
Monumen Kapal Selam(潜水艦記念碑)
そして街歩きの目的地はこちら!潜水艦が展示されているSubmarine Monumentです。
朝8時から夜10時まで開いており、10,000ルピアの入場料を払うと敷地内に入ることが出来ます。そしてこの潜水艦、なんと中を見学することが出来るんです!ちなみにこの潜水艦は1980年代頃まで実際に使用されいたものだそうです。
こちらは船員用のベッド。一番上のベッドはどうやって寝るのでしょうか。配管が目の前にあるし、とても寝返りなどうてそうにありません。
こちらはバスルーム。トイレもシャワー設備もなく、洗面台があるのみです。「バスルームとは何か?」という疑問を投げかけてきます。
外から間近で見るとやはり迫力があります。中は配管や計器類がほとんどそのまま残っており、男心をくすぐられる場所になっています。
スラバヤの中央を南北に流れるマス川のほとりに位置しており、リバーサイドにはお洒落なカフェテリアが。地元のカップルが多く、わざわざ10,000ルピアの入場料を払ってでも、ここで過ごす価値があるのでしょう。
確かに昼間は汚い川も、夜は川の汚さは分かりませんし。ここは川の臭いも全然気にならないので、散歩にも向いているでしょう。
Skate Park Surabaya(スケートパーク・スラバヤ)
隣にはSkate Park Surabayaがあります。10代の若者がスケボーやチャリンコに勤しんでいます。ただ騒ぎ立てるといった感じはなく、淡々と遊んでいるといった感じでした。このあたりから「スラバヤっておとなしい街なのか?」と感じ始めます。
全体的に整っていたり綺麗な感じはあるのですが、反面ジャカルタで感じるような「熱気」や「カオス」を感じることはあまりありませんでした。
ちなみにアイキャッチ画像の鮫と鰐のモニュメントもここにありました。
スラバヤ昼の街歩き
House of Sampoerna(サンプルナ博物館)
翌日、ホテルで朝食を取り、今度は昼間のスラバヤを歩いてみます。
まずはトリップアドバイザーでスラバヤNo.1の観光地の評価を得ている「House of Sampoerna」へ。ちなみに歩いて行くと少し遠いので、タクシーを使うことをお勧めします。
サンプルナ家は、インドネシアを代表する財閥の一つで、資産ランキングでもインドネシアトップ10に入る大富豪一族です。ジャカルタでもスディルマン沿いに大きいビル(Sampoerna Strategic)を所有しています。サンプルナ家はスラバヤを代表する財閥で、タバコによって財を成しました。
このHouse of Sampoernaは、サンプルナが最初に建てた工場の跡地で、博物館とカフェがあります。平日の午前中ならタバコを手作業で製造する工程を博物館の2階から眺めることができます。
博物館は入るのにIDチェックがあるので、一応パスポートなどを持ち歩くようにしましょう。ただしコピーでも問題ありません。
博物館の詳細はじゃかるた新聞のこちらの記事をどうぞ↓↓
【じゃらんじゃらん特集】 「たばこ王」一族の軌跡 ハウス・オブ・サンプルナ スラバヤ旧市街の名所 (2013年05月14日)
Rawon Setan(牛肉入り黒コショウスープ)
次は昼食を摂ろうと、再びホテルまで戻ってきます。向かったのはちょうどJWマリオット・スラバヤの向かいにある「Rawon Setan」。Rawonとは牛肉入り黒コショウスープのことです。これと白ご飯を一緒に食べます。
見た目はあれですが、味は絶品です!黒コショウが程よく効いているため、食べると体が火照ってきますが、インドネシアフートにありがちな日本人には食べられない辛さではありません。むしろ日本人好みのするような味わいではないでしょうか。濃い味のスープと白ご飯がよく合うんです!寒い時に食べると体が温まって良いんじゃないかな~とも思います。
お値段は飲み物をつけて35,000ルピア(約300円)程度です。ローカルフードにしてはそこそこ良い値段がしますが、個人的にはこの味わいでこの値段はとてもお得に感じました!
スラバヤ最古のアイスショップ「Zangrandi」
食後はTunjungan Plazaを少しショッピングし、アイスを食べに行くことに。もちろんこちらもただのアイスじゃあ、ありません。「Zangrandi」は1930年にオープンした、スラバヤ最古のアイスショップです。Plaza Surabayaの近くにあります。
いくつかメニューはあるのですが、だいたい高くても50,000ルピア(約420円)くらいです。筆者は右下の「Bananaなんちゃら(名前忘れてもうた…)」を頼みました。
味は、まぁ普通です。めちゃくちゃ美味しいわけでもないですけど、普通においしいなというった感じです。結構人は入っていましたが、これが歴史ある店というバックグラウンドがなければ、どれだけ人が入るのかは未知数です。
ちなみに右上は友人が頼んだ「ココナッツのなんちゃら」ですが、これは頼まないように。いや、人にもよるんでしょうけど、3人で訪れて3人とも口に合いませんでした…。
スラバヤ観光のまとめ
観光には恵まれないと言われるスラバヤですが、いざ街中をぶらぶらしてみると、結構面白いところがあります。ただやはりスラバヤ市内で限れば2日あればそれなりに観光は終えてしまいます。
家族連れなら近郊に大きなプール(Ciputra Waterpark)などもあるのですが。あとは少し足を延ばして、北にあるSurabaya North Quayなどを訪れてみても良いかもしれません。
ただ何より筆者が気になったのは、バリやロンボクのようなリゾート感はもちろんないのですが、ジャカルタのような「熱気」や「カオス」、あるいはバンドンのような「もう一回来てみたい感」をあまり感じられませんでした。
もしかしたら次に来た時にはまた違う感じかたをするかもしれないので、また何かの機会で訪れてみたいと思います。ただ「スラバヤってどんなところ?」と聞かれたら、これまで自分が言われてきたように、自分も「特に何もなかった」と答えるでしょう(笑)