【競馬語り】平成の女帝・エアグルーヴの系譜を今に語り継ぐ。

競馬と聞いて、まず思い浮かぶのが「ギャンブル」という一面です。同時に、それ以上にドラマティックな「スポーツ」という一面もあります。そして”Blood Sports(血統のスポーツ)”と呼ばれるように、血統は常に競馬のドラマに付き纏います。

題目通り、エアグルーヴは私の一番好きな馬です。牝馬らしからぬ勝負根性でオークスや天皇賞秋を制覇し、年度代表馬にも選ばれたことのある「平成の女帝」。

エアグルーヴとの出逢い

彼女を好きになった理由は、とくにおおげさなものではありません。

高校生の頃、元は父の競馬好きの影響とはいえ馬券も買ったことのない私は競馬ゲーム『ウイニングポスト』に夢中でした。

庭先取引で金のお守り(※現在のシリーズでは虹のお守り)を必要とするこの馬は、日欧牝馬三冠など現実以上に圧倒的な戦績を残します。そして、それ以上に後に牝馬として系統を確立するほど抜群の繁殖成績を残しました。

そして「この馬は現実ではどんな馬だったのだろう?」と興味を持ったことが始まりです。

エアグルーヴの子供・孫たち

彼女は現実の繁殖でも2頭のG1馬を生みました。

初仔でエリザベス女王杯を連覇したアドマイヤグルーヴ

そして香港のクイーンエリザベス2世カップを勝ったルーラーシップです。特にルーラーシップは、現役時代をリアルタイムで観ていたため思い入れが強いです。

競馬の血統というものは、親子の二世代で完結するものではありません。むしろ何年、何十年と人の一生のごとく脈々と連なることこそ醍醐味というものでしょう。

エアグルーヴの直仔は、残念ながら彼女が2013年で亡くなる直前に産み落としたエアグルーヴ2013(ショパン)が最後です。しかし、その彼女の孫世代は今でも健在です。

2015年クラシックに出るエアグルーヴの孫

そして今年のクラシックに名乗りを上げようとする2頭の「孫」がいます。

一番仔アドマイヤグルーヴのラストクロップ「ドゥラメンテ」。

六番仔ポルトフィーノの二番仔「ポルトドートウィユ」。

アドマイヤグルーヴは母エアグルーヴが亡くなる前年に亡くなってしまいました。好成績を残す子供はいたものの、自身のように重賞を勝つ馬はこれまで出てきませんでした。

ドゥラメンテは今週末、2勝目を目指してセントポーリア賞に出走します。恐らく一番人気になり、勝つでしょう。その先にあるのは重賞、そしてクラシックです。

ポルトフィーノはG1エリザベス女王杯落馬からのカラ馬1着事件で有名です。重賞を勝つことはありませんでしたが、G1で3番人気に支持されるなど素質は認められていました。

その二番仔ポルトドートウィユは現在2勝をあげています。重賞初制覇を目指し、2月のきさらぎ賞か共同通信杯に出走予定です。

エアグルーヴの子孫が八大競走を制覇するところを生観戦する

ところで、競馬の世界には八大競走という言葉があります。

日本のG1レースの中でも特に格が高いとされている八競争を指します。三歳クラシックの皐月賞・日本ダービー・菊花賞・桜花賞・オークス。

そして天皇賞春・秋と年末の有馬記念。個人的には夏の宝塚記念と秋の国内最高賞金額を誇るジャパンカップも同程度の格があるので、十大競走と名を改めてもいいと思いますけど。

エアグルーヴ直仔のルーラーシップ以来、久しぶりに期待できる馬が出てきました。上記で述べた2頭の3歳馬が十大競走に出走するならば是非観戦したいと思います。

生きているうちにエアグルーヴに会うことは叶いませんでした。自分の競馬人生での一番の心残りです。なぜ、時間だけはあった学生時代に、一目彼女に会いにいかなかったのかと後悔しています。

しかしまだその子供や孫に夢を託すことはできます。彼女がオークスあるいは天皇賞秋といった十大競走を制覇した瞬間を生で見ることは出来ませんでしたが、その子孫が夢を叶えてくれる場には立ち会えるはずです。

そう願いながら、この牝系をこれからも見守っていきます。まずは今週末のドゥラメンテに注視したいと思います。