【ノーザンホースパーク 訪問記】名脇役の余生の地。

世間はゴールデンウィーク。筆者は国内競馬場巡りの一環で、馬産地北海道を訪れていました。朝に伊丹空港を出発し、昼前に新千歳空港に着きました。最初の目的地はノーザンホースパーク。新千歳空港からは車で10分程度です。

個性抜群の馬たち

ノーザンホースパークはかつて活躍しながらも、種牡馬にはなれなかった功労馬たちが余生を過ごす場所。北海道に着いたらまず真っ先に行こうと思っていました。

到着早々、居ても立ってもいられないので、まずは功労馬の馬房へ。最初の馬房はサラブレッドでなく亜種系の馬の馬房でした。「目的はここではない…」と思いつつ、せっかくなのでそこの馬も見て回ります。

そこで、亜種馬房の壁に掛けられていたホワイトボードに目がいきました。それは各馬房にどんな馬がいるかといったものを示すもので、そこに書かれていたのは。

なんと、

ジャガーメイルを始めとする数々のGⅠ馬!

かつてダート短距離を主戦場とし、直線一気の鬼脚で駆け抜けていったシルクフォーチュン

そ、そして…、

菊花賞2着、ステイヤーズSとダイヤモンドSを制し天皇賞春で1番人気に支持された!自分が一番大好きな馬エアグルーヴとダンスインザダークの間に産まれた!

フォゲッタブルではないか!

まさかここで出逢えるとは!はやる気持ちを抑えれるわけもなく、すぐさまそこへ向かいます。

馬房に入るなり、まずジャガーメイルが目に入ってきました。

おお、お前が天皇賞春を勝ったG1馬か。それよりもジャパンカップ(3着)で世話になったぞ

そして隣の馬房に目を向けると、そこはフォゲッタブルの馬房。

残念ながら、この時は外出中でした。後ろ髪を引かれつつ、やむなし厩舎の奥まで進むと、いました。

ダート短距離の鬼脚、シルクフォーチュンと戯れる

かつてダート短距離で鬼脚と言えばブロードアピールという馬がいました。この馬が2000年根岸Sで見せた末脚は、一般のバラエティ番組でも取り上げられるほどで、もはや伝説といったレベルです。

しかしシルクフォーチュンも負けてはいません。4歳時にダート短距離で条件戦を4連勝。いずれも後方一気の上がり最速、ダートでは驚きの34秒台前半の末脚。1000万下の出石特別や、GⅢプロキオンSのレースは是非観てもらいたいです。末脚の凄さは、初心者にでも伝わりやすいですから。

また、この馬は短距離馬であったためマイルのレースはやや距離が長いと言われていました。そして東日本大震災の影響で地方から東京開催となった2011年JpnⅠ南部杯。距離が長いと言われた東京1600mを最後の直線まで堪えて。ここでも上がり最速の末脚でトランセンド・ダノンカモンに次ぐ3着に入りました。

さらに翌年のGⅠフェブラリーS。同じ東京マイルの舞台で、またも上がり最速の末脚で、今度は2着に入ったのです。

スプリンターで距離不安を囁かれながら、当時まだ若き鞍上・藤岡康太と懸命に脚を溜め、直線で爆発させ大舞台でも結果を残しました。自分の中でダート短距離と言えばこの馬です。

そんなシルクフォーチュンと触れ合おうと、馬に食べさせることのできるにんじんクッキーなるものを購入しました。網の隙間からクッキーをのぞかせると、寄ってきました。

馬って近くで見るとやっぱりでかい。待て!手まで食うな!!

菊花賞馬デルタブルース発見!

馬術コースにいくとちょうどショーをやっていました。

司会のお姉さんが馬のことを「デルタくん」と呼んでいます。

デルタくん。

聞き覚えがあります。まさか。

デルタブルースぅぅぅぅうううう!!

あの三歳クラシック菊花賞とオーストラリア最高峰のレースメルボルンCを勝ったデルタブルースではないですか!今は華麗な跳躍を見せる、障害馬術の馬になっていました。

その他、馬房には春の天皇賞馬アドマイヤジュピタやJBCスプリント馬スーニがいました。これら、近代日本競馬の主流から外れたステイヤーやダート短距離馬は、GⅠ勝ちという実績を持ちながらも種牡馬にはなれないと思うと、競走馬の世界は厳しいのだと改めて思わせられます。

それでもこうして余生をスタッフに見守られながら過ごしている分には、だいぶ幸せなほうなのでしょう。

エアグルーヴの仔、フォゲッタブルとご対面

さて、やはりフォゲッタブルを見ずには帰れまいと思い、再び厩舎へ向かいます。

遠い目をしていました。中々こっちに寄って来てくれません。壁にもたれかかりながら寝ています。

他の兄弟は繁殖生活を送っている中、それでも元気そうで安心しました。父母が同じ全兄弟であるにも関わらず、成績が大分劣るザサンデーフサイチが種牡馬になっているのに、フォゲッタブルがなれないのはやはり馬主の差でしょうか。

筆者のエアグルーヴとその一族への愛については下記記事を参照ください。

是非、ここを訪れる人と戯れながら余生をのんびり過ごし、天寿を全うしてほしいものです。馬好きならぜひ一度は訪れてほしいノーザンホースパークでした。

ノーザンホースパーク
〒059-1361 北海道苫小牧市美沢114-7
TEL:0144-58-2116/FAX:0144-58-2377
http://www.northern-horsepark.co.jp/