世界的には無名な通貨、インドネシアルピア。これこそがインドネシア国内で流通している貨幣です。
1米ドル=13,000ルピア、1円=120ルピア。一番高いお札は100,000ルピア札(約800円)という世界。
財布はすぐにパンパンになってしまいます。そのため、インドネシアでは銀行口座が生活に不可欠となっています。
そんなインドネシアのルピアですが、世界的には貨幣価値が低い一方で、国内の銀行口座で定期金利運用すると年利7%とかなりの高利です。0.1%で高金利とされる日本の金利と比べると、けた違いです。
なので多量の紙幣を持たないため、そして高金利の定期預金で運用するためにも、インドネシアでは銀行口座がまず何より必要です。しかし誰でも口座を開けるわけではなく、外国人にはいくつか制限もあります。
その制限の一つが『居住者のみ』というものです。
口座開設に必要な書類
インドネシアに居住している外国人のみという制限がありますが、ようは滞在許可証(KITAS)があるかどうかです。
KITASは1年の滞在許可を所持している外国人にしか発行されません。なので、出張ベースのマルチビザ取得者やアライバルビザで訪問している旅行者、その他25歳未満だったりしてKITASが発行されず半年のビザで滞在している外国人の方は、口座を開くことが出来ないのです。
では実際にKITAS取得者が口座開設のために銀行に持っていく書類はというと、実はそんなに多くありません。
- KITAS(滞在許可証)
- パスポート
- 初回入金分の現金(50万ルピアから)
- 印紙税(6,000ルピア)
今回筆者が口座開設をした際は、他サイトで紹介されているような会社の所属証明レターやIMTA(労働許可)、NPWP(納税者番号)、住居証明などは求められませんでした。
口座開設はBCA
インドネシア資本の主要銀行は、政府系銀行のMandiri,BNI,BRIと民間系銀行のBCAに分かれます。筆者の周りではMandiriとBCAが半々、BNIは法人口座としての利用が多い印象です。BRIを所持している人はあまり見かけません。
筆者もMandiriかBCAで検討していましたが、ちょうど会社の入っているオフィスの1階にBCAの支店があったので、BCAで開設することにしました。ちなみにBCAは、口座開設時の窓口のお姉さんが美人なことで知られています。筆者の担当ももれなく、エキゾチックなインドネシア美人でした。
開設の手順
さて開設の手順はというと、まずは「Mau buka bank account baru(新しい銀行口座を開きたい)」と言えば、専用ブースに案内してもらえます。
次に必要な書類を言われるので、KITASとパスポートを提出します。するとお姉さんがテキパキ手続きを進めていってくれます。
途中かなり日常会話を振られます(筆者の時はすべてインドネシア語でした)。例えば、「いつインドネシアにきたの?」「なんでインドネシア語話せるの?」「一人で住んでるの?」などなど。
それ以外にも、会社のレターは求められなかったものの、会社の所在地を尋ねられました。「ここの上だよ」と答えたら笑っていましたが。
やもすれば「この人、おれに気があるのか!?」なんて思ってしまいそうですが、日常会話を装いながらさりげなくこちらの属性を伺っているのだと思います。答えに詰まったり、不審なところがあると、そこから追及され、他の書類の提出なんかを求められるのかもしれません。
キャッシュカードの選択
次にキャッシュカードの選定になります。まず聞かれるのは、インドネシア語版か英語版かということです。
- 名前なしのインドネシア語版(←なにがインドネシア語版かは結局よく分からずじまい)なら即日発行。
- 名前入りの英語版(←なにが英語版かは結局よくわからない)なら5営業日程度必要と言われた。
説明を聞く限りでは、ATMマシンでの表示言語はインドネシア語か英語かと言っていましたが…。正直そんなものはどちらでもよく、しかもレバラン休暇前で、早急にキャッシュカードが必要だったので、名前なしの即日発行にしました。
キャッシュカードにはランクが3段階あり、シルバー→ゴールド→プラチナの順番です。主な違いは引き下ろし上限額や振り込み上限額、あとは口座維持費が変わってきます。口座維持費はシルバー15,000ルピア、ゴールド17,000ルピア、プラチナ20,000ルピアです。
大して口座維持費が変わらないにも関わらず、上限額には結構な差があったので、筆者はプラチナを選択しました。ちなみにプラチナだと、券面もブラックで見た目カッコいいです。
ちなみにこのカードはATMでのキャッシュカードの他、デビット機能も付いているので、これで支払も可能です。
モバイルバンキングとインターネットバンキング
キャッシュカードを受け取った後、モバイルバンキングの手続きもその場で出来ます。というか筆者は半ば強制的にやらされました。
ただモバイルバンキングがあれば、TelekomselやXLのプルサチャージとか、Gojek/Grabへのチャージもできるので、非常に便利ですし、設定しておいて損はありません。むしろこのタイミングで設定しておくべきかと思われます。
キャッシュカードの暗証番号(PIN)の他、モバイルバンキングへのログインパスワードなどを設定するので、混乱しないように注意してください。ちなみにキャッシュカードの暗証番号は数字6桁、モバイルバンキングのログインパスワードは英数字6文字でした。当然ながら、通信可能なスマホが必要となります。
インターネットバンキングは、自分のパソコンからの設定が必要になるので、後日別でやる必要があります。インターネットバンキングを申し込むと、ワンタイムパスワード発行機をその場でもらうので、このワンタイムパスワード発行機を使って、ウェブから設定しましょう。設定方法をその場で説明してくれますが、家に帰って面倒くさがってしばらく放置すると、設定方法を忘れて苦労することになります。さっさとやりましょう。
まとめ
口座開設は居住者(KITAS保持者)のみ。
やましいことがなければKITASとパスポートと最低入金額分の現金だけで十分。
よほど貧乏でない限り、一番上のランクのキャッシュカードで良い。 ※HSBCなどの外資系銀行は別。
モバイルバンキングの設定はその場で行っておく。インターネットバンキングは帰ったらすぐ設定する。
あと、クレジットカードをついでに申し込もうかと思ったのですが、正直必要性がイマイチ感じなかったので、今回は見送ることにしました。日本での収入があったり、円口座へ送金できるだけの余裕がある場合は、日本のクレジットカードを継続したほうがベネフィットは大きそうです。
ウェブを拝見いたしました。とても為になる情報、ありがとうございます。私はマンディリ銀行を持っているのですが、会社で帰任が決まり、KITASのEPO申請などしています。この場合、マンディリ銀行の口座をそのまま取っておくことは可能なのでしょうか?
こんにちは。毎月口座維持費がかかりますが、その分の残高さえあれば維持することは可能です。口座維持費がなくなれば強制的に閉鎖されるだけです。銀行の内規上はKITAS抹消したら口座も閉鎖してくださいね、となるんでしょうが、実際に銀行がわざわざ個人のKITASまで確認することもないでしょう。