中間層にスマホが普及し、それに伴いここ数年で一気にインフラ化した企業がインドネシアにあります。スタートアップの雄として度々日本のメディアでも取り上げられることのあるGo-jek(ゴジェック)です。
インドネシアで急成長中のバイクタクシー予約システム「GOJEK(ゴジェック)」(2015年10月21日:ダイヤモンドオンライン)
そしてもう一つ、シンガポールに拠点を置き、インドネシア含む東南アジア8か国に同じような配車サービスを展開するGrabがあります。
双方ともバイク配車サービスは緑のヘルメット・緑のジャケットを目印にしており、初めてインドネシアを訪れる人は「あの緑の集団は何?」と疑問に思うこと間違いなしでしょう。
さて、そんなGo-jekとGrab。実際のところどちらが良いのか。在住者目線で語っていきたいと思います。
コンテンツ
料金
Go-jekは現金もしくは電子マネーによる支払いです。一方のGrabは現金・電子マネーの他、クレジットカードで支払うことも可能です。日本のクレジットカードも登録可能です。通貨的に弱いルピアを現金であまり持ちたくないような出張者には、クレジットカードの利用がベターです。
双方とも電子マネーで支払うことで割引を受けることができます。現金支払いの通常料金は同程度です。需給状況で金額は変動し、朝夕通勤のピークタイムや雨天時には高くなります。しかし片方が高く、片方が安いといったこともしばしば起こりうるので、通常と比べて高いなと思う時は比較してみるのも一つの手です。
世界最悪の渋滞と言われているジャカルタでは、タクシーに乗って渋滞にはまると青天井で料金が上がっていくことがあります。渋滞に関係なく最初に指定された料金のみで目的地まで連れて行ってくれるGo CarやGrab Carはここインドネシアでは非常に重宝します。
またバイクも同様で、通常のオジェック(バイクタクシー)ではこれまで目的地を伝えたり料金交渉が必要で、特に外国人には使いづらかったのですが、両アプリの登場で大きく様変わりしました。
電子マネー
Go-Pay(Go-jek)
Go-jekの電子マネーです。以下のような特徴があります。
- 現金支払いより少々安くなります
- 入金はシンプルで「70001+携帯番号」が支払いコードです。
- BCAの場合、送金手数料として都度1,000ルピア取られます。
- 送金は即時反映されます。
- OVOと覇権争いをするかのように、使えるところが非常に多いです。
OVO(Grab)
Grabの電子マネーです。
- 頻繁にプロモを行っており、Grab CarやGrab Bikeが1,000ルピアのみで利用できることがあります。
- OVOの運営はGrabではなく、Lippo財閥グループ参加の別会社です。そのため、Go-pay以上に使える場所が多いです。
- 日本人御用達のCity Walkモールでは、OVOによる支払いで20-30%キャッシュバック(ただし上限あり)などが頻繁に行われています
- OVO自体の管理は、別アプリで行うこととなります。
- BCAのモバイルバンキングだと手数料無料で入金可能です。
- 送金は即時反映されます。
- GrabポイントとOVOポイントの双方が貯まります。
ドライバーの質
これは完全に筆者の主観となりますが、Go-jekのほうが車・バイクともにドライバーの質は良いと思います。ドライバーの質とはすなわち以下のようなものです。
- 道を知っているか
- 運転は荒くないか
- 貸し出されるヘルメットの状態【バイク】
- キャンセル率の低さ
車の場合、双方ともわりと優秀で、特に道や場所を言わなくてもナビ通り向かってくれます。
ただしバイクの場合、Go-jekと比べてGrabのドライバーは道を知らなかったりすることが多いです。
以前ブロックMに向かう際、こんなことがありました。
筆者「ブロックMまで」
Grab「ブロックMってどこだ?」
筆者「道教えるから、Sudirman通りまで出てくれ」
Grab「Sudirmanってどこだ?おれはブカシの人間なんだ」
正直なところ、利用者側としてはいちいち道を伝えるのも面倒なので、土地勘がないならこの仕事をしないでほしいというのが本音です。ましてやSudirman通りを知らないというは、ちょっと論外。
配車スピードや車両のクオリティについては大差はありません。なお、Go-Carを頼むとたまにブルーバードタクシーが来ることがあります。また、以前はGrab-Carを頼むとExpressタクシーが来ることがありましたが、最近はほとんど見かけません。
なおチカランなど遠方に行く場合はキャンセルされることが多いので、Go-Bluebird(ブルーバードタクシーの配車アプリ)を使うこともお勧めします。
交通以外のアプリ
双方ともに飲食のデリバリーを行っています。アプリの見やすさ・使いやすさの面ではGo Food(Go-jek)のほうが上ですが、Grab Foodはプロモーションが多いです。
とはいえ、プロモがないときなどは、やはりインドネシア人も日本人もGo Foodを使っている印象です。特に単身の日本人なんかは自炊をしない人が多い故、「飯は普段どうしてるの?」「ああ、Go Foodだね」という会話が成り立ちます。
配送システム(Go Send/Delivery)も双方備わっていますね。こちらもやはりGo Sendが優勢です。買い物も同様です。
Go-jekには、Go-jekにしかないサービスも多いです。有名どころはGo-LifeにあるGo-Massage。その名の通り、マッサージ師の派遣です。マッサージ師の男女、時間(60分から)、サービス内容を選択し、自宅まで来てくれます。
当たり前ですが、性的サービスはほとんどなく(極稀にある、らしい)、男性諸君は女性マッサージ師を期待して呼ぶのですが、たいていおばちゃんです。
一応、オーダー確定時に写真が表示されるので、自分の好みのマッサージ師が出るまで注文→キャンセルを繰り返す猛者もいたりします。ただし一定時間内にキャンセルしすぎるとアカウント凍結をくらうことがあるので注意が必要です。
ポイントシステム
Go-jekにはGo Points、GrabにはGrab Rewardsというポイントシステムがあります。
Go Points
Go Pointsはいちいちくじを引かなければいけないのが面倒です。しばらく放置しているとくじが100個とか貯まっていたりして、回すのに非常に時間がかかります。
しかし最近では50回までまとめてくじを引けるようになったので、だいぶ楽になりました。
ポイントはランダム(なのでくじと呼んでいる)のようですが、高い支払い(長距離の車移動、高額のフード注文)には高いポイントが付いてくる模様。
以前は150,000ポイントで東京ツアーやエルサレムツアー、それから350,000ポイントでバイク(エンフィールド350)がありました。2019年8月時点での高額商品は、Galaxy Note 9(216,500pt)とGoogle Pixed 2(325,000pt)です。めっきり交換できる品が少なくなりました。
Grab Rewards
Grab Rewardsはサービス利用後に勝手に加算されます。だいたい利用料金×0.1%(10,000ルピアの利用で10ポイントくらい)。
ステータス制度があり、6か月間で2,000ポイントを超えるとプラチナム(Platinum)になることができます。メリットは優先配車、専用サポートコール、ボーナスポイント加算などです。
また貯めたポイントはGo Pointsのように商品と交換することが可能です。3,000ポイントで300クリスフライヤーマイル(SQシンガポール航空のマイル)に交換できるのが大きな特徴でしょうか。
また2018年10月よりガルーダマイルズ(ガルーダインドネシア航空のマイル)とも交換できるようになりました。3,000ポイントで250マイル(12ポイント/マイル)ですが、7,500ポイントだと1,000マイル(7.5ポイント/マイル)となります。
その他は基本的に高額商品はありません。
まとめ
クオリティのGo-jek、価格のGrabというのが筆者の印象です。現在はGrab Rewards Plutinumを目指してGrabを多く利用するようにしています。ただそれでも食べ物をオーダーする際は使い勝手の良さからGo Foodが多いでしょうか。
他国での利用状況は、Go-jekがベトナムへ進出、さらにフィリピンへの進出も検討しています。一方のGrabは、東南アジア事業から撤退したUberの顧客を一手に引き受け、シンガポールやマレーシア、タイでは独占状態になっています。
気になるところとして、OVOの残高(ルピア)は、他の国に行ったとしてもそのまま使えるのでしょうか…?今度、タイに行く機会があるので検証してきたいと思います。OVO残高はインドネシア国内のみ利用可能です。