突然ですが、筆者の夢の一つが「世界中の競馬場を巡ること」です。
今回の舞台は、赤道直下のシンガポール。ここには、2015年までシンガポール航空インターナショナルカップとクリスフライヤーインターナショナルスプリントが行われたクランジ競馬場があります。
シンガポール航空ICはコスモバルクとシャドウゲイトが2年連続勝利しました。クリスフライヤーISは日本のスプリンターズSを制したテイクオーバーターゲットや、高松宮記念を勝ったエアロヴェロシティが勝ったレースとしても知られています。
そんなクランジ競馬場があるシンガポール・ターフ・クラブを訪れました。
クランジ(Kranji)駅
競馬場の最寄りは、MRTのNorthSouthLine(南北線)のクランジ駅になります。
最寄りの駅名が競馬場名になっているのは、日本でも馴染みがあります。京都競馬場を「淀競馬場」とか、東京競馬場を「府中競馬場」と言ったりしますね。クランジ駅は大体シンガポールの中心地あたりから30~45分程度です。
入場門
しばらくすると入場門が見えてきます。
ですがチケットカウンターのものはあまり見当たらず、何やらMRTの改札口のようなものがあります。皆さん、ここに自分の財布やらを押し当てて入っていきます。
どうやって入るのだろうかと思案しながら、試しに自分が持っていたEZ-linkを当ててみる。するとゲートを通れたではないですか!改札の表示を見るとS$5(約400円)が引かれています。これが入場料で、クランジ競馬場はEZ-linkで入場できることが判明しました。
パドック
入場して建物に近づくと、すぐにパドックが見えてきます。
この日は金曜夜のナイター開催だったので、場内が非常に明るく照らし出されています。よくよく考えてみれば、自分がこれまで行ったナイター競馬は園田と帯広ばんえいしかなく、ナイターで屋内のパドックというのは初めてです。
事前に調べた限りでは、短パンやサンダルはドレスコードとしてNGと書かれていました。
しかし来場客を見ると、まるで地方競馬のようなラフな身なりの方がたくさん…。ドレスコードもへったくれもありません。
おそらくカジノが出来た影響で、カジノに入れない現地人(シンガポール国民がカジノに入場する際はS$100の入場料が必要。外国人は無料)が多く、外国人が少ないからでしょう。
パドックから本場場へ続く道も眺めることが出来ます。この辺りはアメリカの競馬場とも似ており、日本も導入したら良いのかな~と思ったりもします。
2階フロアからパドックを眺めると、パドックが楕円と正円の間くらいのような形をしているのが分かります。ちなみに馬は阪神競馬場のように反時計回りで周回します。
パドック前の大型ビジョンではオッズを確認することが出来ます。
WINSは単勝、PLASは複勝です。それぞれ最低購入金額がS$5なので、それに対する配当になります。なので例えば1番のWINS 17, PLAS 6の場合は、単勝3.4倍・複勝1.2倍になります。
ちなみに馬番はハンデの重い順に並んでおり、同じレースで一番重い斤量が59.0㎏、軽い斤量が50.0kgなど、かなりハンデ差があります。
馬券購入
さて、いざ馬券購入です。
馬券はマークシートを記入したのち、窓口で購入する仕組みです。日本のようにあちこちに鉛筆が置いてあるわけではありませんが、窓口でいえば鉛筆をもらうことが出来ます。
窓口のほか、機械での購入も可能ですが、こちらは専用カードのようなものが必要になります。
マークカードは2種類あります。
左側は単勝(WINS)、複勝(PLACE)専用です。右側は馬単、3連単、4連単、3連複、4連複などが購入できます。場所、レース番号、購入券種、馬番、購入金額の単位を記入します。マークカードを見て初めて知ったのですが、ここではシンガポール競馬の他、マレーシアと香港の馬券も購入することが出来ます。
記入したマークシートを窓口で渡し、お金を払うと馬券がもらえます。右側が7番の単勝5ドル、左側が7-10番の馬単(裏表)5ドルずつの計10ドルです。ちなみに馬連のシステムはなく、基本的に馬単裏表での購入になるので、注意が必要です。
レース観戦
いよいよレース観戦です。
ナイター競馬はテンションが上がりますね!外は南国赤道直下、ムワッとした蒸し暑さが広がります。
汗をかきたくない方は、エアコンがきいた2階の屋内スタンドから観戦することもできます。こちらはやや馬場が遠くなりますが、レース自体は見やすくなります。何より涼しいです。
レースは夜6時20分からだいたい30分刻み程度で8レース開催されていました。最終レースが終わったのが結局夜10時半ごろです。シンガポールのレースは南半球らしく、短距離のレースが多いです。今回もほとんどが1200~1600mのレースでした。一方で馬場は手前が芝、奥にはオールウェザーのコースがあります。
スタンド自体はかなり大きく、立派なものでした。やはり上層階は馬主席やVIP待遇の席になっています。
換金方法
馬券が当たれば換金です。
電光掲示板に「ALL CLEAR」の文字が表示されたら、日本でいう「確定」で換金が出来ます。
換金は窓口で当たり馬券を渡すだけです。お金の他、当たり馬券の控えももらうことが出来ます配当金額も書いてあるので、記念にとっておくにはちょうどいいです。左は30倍の馬単を2ドル分購入していたので60ドル、右は17倍の単勝を1口(5ドル)買っていたので17ドルの配当です。
館内設備
スタンド内にはいくつか施設があります。
変わり種としてては、まずマッサージチェア。座りながら眠り込んでいる人もいました。有料か無料かは不明でしたが、恐らく有料ではないでしょうか…。
また先ほど紹介した2階席に行く際には、また入場門のような改札口を通ります。
「もしや2階席でも観戦も金を取られるのか?」と思い、係員の人に聞いてみると、「無料だから普通に入っていいよ」と言われました。じゃあ皆さん何をタッチしているのでしょう。気になるところです。
ギフトショップ
このほかギフトショップにもあります。殺伐とした競馬場には似つかわしくない、落ち着いた空間です。
店内には、今や廃止となったシンガポール航空インターナショナルカップの記念キャップやポロシャツが販売されていました。その他、シンガポールターフクラブのロゴが入ったポロシャツも販売しています。
かの名スプリンターで、スプリンターズSにも圧倒的1番人気で参戦しながら、日本馬包囲網に敗れたロケットマンのキャップも売られていました。やはりこの国では英雄的な馬だったのでしょう。
せっかくなのでターフクラブのポロシャツを1着購入しました。16ドルでしたが、ちょうどグレイトシンガポールセールの期間中だったので、割引がきいて13ドル(約1,100円)少々で購入できました。かなりお買い得だったと思っています。
フードコート
館内での食事は、フードコートがあります。
いわゆる「ホーカー」のようなスタイルで、海南鶏飯(シンガポールチキンライス)なども販売されています。料金も町中のホーカーとさほど変わらないので、気軽に購入できますね。
まとめ
クランジ競馬場は、日本の地方競馬と中央競馬が融合したような雰囲気です。
スタンドの質などは中央競馬くらい立派なものがあります。ただこの日は大きなレースがないせいもあり、また筆者がドレスコード必須と思い違いをしていたことから、来場客は華やかとは言い難いです。女性客もほとんど見当たらず、いても中国系のたくましそうなおばちゃんくらいです。
あまり旅行者の女性が一人で訪れたり、あるいはデートで訪れたりといった場所には向きません。華やかな場所を求めるならカジノに行くべきでしょう。あくまて古き良き「鉄火場」を求める人にこそオススメできる場所です。