日本競馬の目指す海外の頂点と言えば凱旋門賞です。
しかし世界の名馬が目指す頂点はブリーダーズカップ(Breeder’s Cup)といっても過言はありません。毎年秋にアメリカで開催され、性齢・馬場・距離様々な13のGⅠレースが2日間のうちに行われます。特に2日目は1日9つのGⅠレースが行われ、これは一日のGⅠ開催数世界最多です。
先日アメリカ出張の際、運よくブリーダーズカップ開催の折にロサンゼルスで長い乗り換え時間があったので、行ってきました。
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ブリーダーズカップチケットの取り方
最初はアメリカのチケット取引サイトで指定席を購入しようと思っていたのですが、途中で注文がキャンセルになったり、アメリカの住所(滞在先のホテルを指定)などでエラーが出て、取れませんでした。
結局、日にちもなかったのでBCの本サイトからClub HouseのWalk Aroundチケットを取りました。
Club Houseはゴールに近い側のエリアで、Walk Aroundは座席指定のない入場券のみです。今年は11月4日、5日と金曜日と土曜日の開催でした。11月5日土曜日しか行けないので、1日分で50ドル+手数料の計60ドルをオンラインでクレジット決済です。
引き取りは現地のWill Call窓口となりました。
サンタアニタ競馬場へ到着
さて、当日。
本来なら11時過ぎにロサンゼルス国際空港に到着し、レンタカーをして競馬場に向かう予定でした。スケジュール的に、ヌーヴォレコルトのBCフィリー&メアターフが間に合うかどうかといったところです。
ところが出発地で機材トラブルに見舞われ、ユナイテッドからデルタに振り替えた結果、ロサンゼルス国際空港に到着したのが14時過ぎ。すぐにレンタカーでSanta Anita Racecourseに向かうも、到着したのは15時半をすでに回っていました。
この時点で残っているレースは3レースでした。
おお、日本の国旗だ!
…なんて感動している場合ではない。ただでさえ時間がないので早く中に入らねば。
まずはWill Call窓口を探します。
…が、すでに閉まっていました。近くの係員に声をかけ、なんとか入場許可証をもらいます。
中に入ると、ちょうどレースが一つ終わった頃で、次のレースのBCマイルまではしばらく時間があるようでした。
サンタアニタ競馬場のClub Houseエリア内は意外とラフ
まずは館内を見て回ります。
Club HouseエリアだしBCだし、どれだけ豪華なことになっているのだろうと期待して入ってみるも、中は意外と普通でした。ドレスコードがいるのかと思い、例によってスーツで来たものの、Tシャツやジーンズ、サンダルなどラフな格好の人も結構多いです。
もちろんドレスアップして、トサカのついた派手な帽子を被ったレディーやタキシードを着用したジェントルマンもいました。
館内では、サイレント・オークション(Silent Auction)なるものが行われており、絵画やブーツなどが出品されていました。開始価格が200ドルとか500ドルとかやたら高額なのですが、なぜそこまで高いのかが理解できません。
コース側のスタンドに出てみるとさすがに人が多いですが、それでも思っていたほどではありませんでした。日本のGⅠに比べると余裕をもって歩けるし、柵の最前列までも悠々到達できます。
世界一の競馬の祭典なので、てっきり日本ダービーみたいに歩くスペースもないような競馬場を想像していたので、意外でした。Club Houseでない一般エリアのほうはもう少し混雑していましたが、それでも歩く分には全く支障はなかったです。
サンタアニタ競馬場の馬場とコース
この日は実に快晴で、コースの後ろには綺麗な山並が見えました。ロッキー山脈でしょうか。
ここのコースもサンフランシスコのゴールデンゲート競馬場と同様に砂というよりは、完全に土の馬場でした。
スタートゲートも完全にBC仕様になっています。テンション上がりますね!
BCマイルの馬券と本場馬入場
この時、すでに残りは2レース。
BCマイルとBCクラシックしか残されていなかったので、まずはBCマイルを買ってみます。館内をうろついていたら、いつの間にか時間もなくなっていました。
レースについて、特に前情報も仕入れておらず、レープロを見て有名なレースを勝っている馬を選ぼうということで、アスコットのクイーンアンSとカナダのウッドバインマイルを勝っている2番人気8番のTepinから流してみました。
ちなみに昨年のBCマイルの覇者でもあります。
BCといえどもさすがアメリカ競馬。競走馬はパドックから馬道を通り本馬場に出てくるのですが、その馬道が観客席と本当に近い!2~3mの距離なので、名馬といえどもすごく近くで見ることが出来ます。
ちなみにこの馬道は招待客やVIPも通ることができるようで、ドレスアップしたレディーたちがぬかるんだ土の上を歩いていました。レディーたちは盛んに誘導場などと写真撮影をしています。もっとも誘導馬なら、一般の観客でも観客席の脇から触れさせてもらえます。
BCマイル、渾身のTepinは2着
レースの結果は1番人気が飛び、15倍くらいの馬が勝ったので結構荒れたレースになりました。自分の買ったTepinは惜しくも2着。
BCマイルでの敗戦を引きずることもなく、ここでいったん改めて場内の様子をパノラマで撮影してみました。カウボーイハットのあんちゃんがいけています。インド人やアジア人、それから日本人も何人か見かけました。
2016年BCクラシックの有力馬は2頭
BCマイルが終わり、いよいよ大一番・BCクラシックです!
1番人気は今年6連勝中、ドバイWCも制したアメリカ2冠馬カリフォルニアクローム(California Chrome)です。オッズは1.2倍程度でした。さすがにこのクラスの馬になると日本にいても名声が聞こえてきます。
一方で、その他の馬は全く聞き覚えがありません。
2番人気は3歳馬のアロゲート(Arrogate)という馬でしたが、レープロを見ても前走GⅠ勝ちですが、特に目立った戦績があるわけでもなく、なぜこんなに人気しているのかが分かりませんでした。
当然カリフォルニアクロームから買います。
BCカップのパドックの人入りは日本のGⅠ並み
せっかくなのでパドックを見に行ってみました。スタンドと違い、パドックは結構な人で溢れ返っていました。
やはりお目当てはカリフォルニアクロームのようです。馬が出てくるまで結構待たされましたが、カリフォルニアクロームが登場した時の歓声は一段とすごかったです。
パドックを見た後は、馬道で間近で見ようと再びコース側へと戻り、エスピノーザ騎手が跨ったカリフォルニアクロームを間近で見ることが出来ました。
日が暮れてきたころにレースは始まります。
撮影スタッフは専用のビブスを着用していますが、日本みたいにガッツリ撮影装備を固めているわけでもなく、ワンピースを着てカメラ1台で撮影しているような女の子もいました。
BCカップ、いよいよレース開始!
いよいよレースが始まります。
レースは序盤からカリフォルニアクロームが逃げます。そのまま先頭を走り続け、最後の直線。直線に入り、後続を振り切って独走かと思われたその時、外から2番人気のアロゲートが馬体を合わせてきます。
ゴール前、両馬の激しい競り合い!観客からは「Go! Chrome!」と応援が飛びます!
結果、残り50mというところでアロゲートがカリフォルニアクロームを交わし切り優勝。ゴールの瞬間は歓声よりもため息や落胆の声が多く聞こえました。もちろん自分もその一人です。
単勝5.4倍、馬単5.0倍というあべこべな決着でした。
勝ったアロゲートは馬上でインタビューを受けながら、誘導馬に連れられて帰ってきました。こちらではウイニングランというのはなさそうです。
レース直後はため息も多かったですが、もうこの時には勝ったアロゲートに対して惜しみない拍手が送られていました。
ちなみに後になって確認したところ、アロゲートは前走のGⅠトラヴァーズSで今年のプリークネスS勝馬のエグザジェレイターなどを13馬身もぶっちぎってレコード勝ちしていたようです。今回のBCクラシック勝利で、「最強王者誕生か!?」とも言われています。
アロゲートの後日談
このレースによりアロゲートは、ロンジン・ワールド・ベストレースホース・ランキングでは134で2016年の世界1位にランクされます。
そして翌年2017年、世界最高賞金額のレースとして開催された第1回ペガサスワールドカップと、ドバイワールドカップを制し、アロゲートはテイエムオペラオーを抜いて歴代世界最高獲得賞金額を更新しました。
サンタアニタ競馬場の土産物屋へ
レースの余韻も冷め終わらぬところで、土産物屋へいきます。ブリーダーズカップTシャツや帽子など数点を購入しました。本当はパーカーが欲しかったのですが、Championのロゴがダサいのと、その割に高かったので諦めました。
サンタアニタでは最後までハラハラドキドキ
さてさて、BCも見たし、帰りの飛行機の時間まではまだ余裕があるからカジノでも行こうかなーと思い、駐車場に行くと…。
そこには車の大行列が。
やっぱりレンタカーをキャンセルしてUberでこれば良かったと後悔しました。結局、駐車場を出るまでに1時間近くかかり、なんやかんやどこにも寄らずそのまま空港へ直行しました。
ロサンゼルス国際空港は、ANAプラチナなどのステータスホルダーでも、受付カウンターと保安検査ともにかなり時間がかかります。早めの行動をお勧めします。