インドネシアでのコロナ騒動を自分のツイートをもとに振り返ってみた

2020年3月初旬にインドネシアで新型コロナウイルス感染が確認されてからはや3か月が経ちました。

世界中はもとより、在宅勤務を始めたり、国家間移動に難儀が生じたり、自分の身の回りでも変化があり、今後の「新しい生活様式」を考えさせられます。

それでも人間は過去の歴史から学ぶ生き物なので、備忘録がてらこれまで自分が体感してきたコロナによる影響を、ツイートを元に振り返ってみます。

 

2月5日:コロナウイルスに関する初ツイート

 

国家間の行き来が気軽にできなくなった今では、自由に海外を往来できたあの頃が懐かしいです…。

2月中旬にシンガポールを訪れた際は飛行機の機内はガラガラ、帰国時は黄色い問診票の記入が義務付けられていました。

問診票のフォーマットについては毎週変更があったようで、みなさん右往左往していました。

 

2月20日:スカルノハッタ国際空港で日本人入国拒否報道

 

微妙にバズったツイートです。

この頃から、日本からの出張者がいなくなりました。わざわざ飛行機で7時間かけてきて、入国拒否でとんぼ返りなんて嫌すぎますもんね。

同時に在住者にとっても、「入国できないのではないか」という懸念が出ました。

 

2月28日:経済への影響、弱小通貨ルピアが蹂躙されはじめる

 

2月上旬には1円=122ルピアと、ここ数年で最も円安ルピア高に振れていました。

しかしコロナ情勢が過熱していくにつれ、弱小通貨ルピアは売られに売られ、2月下旬を境にジェットコースターへと突入します。

3月9日には1円=140ルピア、3月20日には1円=146ルピア

そしてジャカルタで緊急事態宣言が発令されてから週明けの3月23日。

 

 

その後は落ち着きを取り戻しつつある経済情勢によって、6月3日時点で1円=130ルピアと、コロナ騒動以前の水準に戻ってきました。

給与がドル建てルピア払いなので、為替差益によって給与増大しましたがわずか2か月程度の恩恵でした。

 

3月2日:インドネシア国内での感染初確認

 

インドネシアでの初の感染者がマレーシアから渡航してきた日本人経由だったということで、一時日本人に矛先が向くことが在留邦人の間で心配事となりました。

まだ空いていたレストランで入店拒否されたとか、冷たい目で見られたことがあるという話が日本のニュースで流れたりもしましたが、個人的には全くそんな感じはしなかったです。

 

 

そして3月2日の国内初感染の発表後は、日本でも起きていた買い占め騒動が起きました。

パパイヤでは米やティッシュ、トイレットペーパーがなくなり大騒動になりましたが、ローカルのスーパーにはいくらか在庫がありました。パパイヤではその後現在に至るまで、米やティッシュは一家族あたりの購入制限を設けています。

またマスクについては2月から品切れで、どこのドラッグストアにも置いておらず、以前は50枚入りのサージカルマスクが30,000ルピアでどこでも購入できたのですが、今でも値は落ち着かず200,000ルピア程度の高級品となってしまいました。

買い占め騒動については1-2日程度で収束しました。が、特に輸入品野菜などが高騰し、特に中国からの輸入に依存する玉ねぎの高騰が著しく、一時は1キロ200,000ルピアの超高級品に。日本式カレーが作れなくなったというボヤキが目立ったのもこの頃です。今ではすっかり元通りです。

 

3月4日:日本大使館に連絡がつながらない!

 

初感染者が出た直後、ジョグジャを訪れていた日本人学生が発熱により強制隔離され、本人と一時連絡が取れなくなるという事態が起きました。じゃかるた新聞でも一面に取り上げられました。

結局翌日くらいには無事連絡が取れたのですが、ここで問題になったのが日本大使館の対応。24時間の緊急電話番号にかけても全くつながらないことが発覚し、大使館の体制不備が指摘されました。

本当に必要な時に頼りにならないんだから…と思っていましたが、これを契機にコロナに関する情報発信力を大使館は格段に強化し始めました。

時には深夜にメールを配信することもあり、中の人はいつ寝ているのだろうと心配に。3月2日以降の3か月間で大使館が配信したメールは60件以上にのぼり、ほぼ毎日情報発信をしています。

 

 

今では大使館発信の情報が最も信頼できるソースとして扱われ、筆者もツイート時には大使館メールをよく引用するようになりました。

 

3月9日:Cuti Bersama(有給一斉奨励日)の変更

 

3月上旬にはコロナは1か月程度で終息するものだと政府は見込んでいました。そのため当時は航空券50%オフにするからいっぱい飛行機乗って旅行行ってね!みたいな政策を打ち出したこともありました(もちろん一瞬で撤回されました。8月と10月の有給奨励日追加はそのためです)。

その最たる例が、5月下旬に予定されていたレバラン休暇の延長です。元々7日間程度の設定でしたが、有給奨励日を追加し12日間の長期休暇になりました。

しかし12連休に喜んだのもつかの間。1か月もすると政府も気づいたのでしょう。

 

政府
あれ、これ1か月くらいじゃ全然収まりそうにないわ

 

 

そしてレバラン休暇前になると「やっぱり12月の有給奨励日を絡めた連休、7月に移すかもしれん」と言い出し、休暇直前には…

 

 

インドネシア政府の場当たり的政策が如実に表れたものでした。

 

3月20日:ジャカルタ非常事態宣言発令

 

3月20日、とうとうジャカルタ特別州で非常事態宣言が発令されます。

これにより娯楽施設のほとんどが一時閉鎖に追いやられます。カラオケ(お姉さんのいるお店)は4月23日前後から始まる断食期間中は営業できなくなるので、「実質レバラン明けまで2か月近く営業できない」という事態になりました。

またこれに伴いインドネシア政府も出入国管理を厳格化しました。

VOAの入国が停止になり、シングル・マルチプルビザの発給も停止。さらには最後の砦、在住者(ITAS/ITAPホルダー)でも再入国に健康証明書が必要になり、実質一回出国したら再入国不可なのでは?という機運が流れます。

外国人の出入国やITAS更新などは、在住者にとって最重要事項となるためこれに関する情報や大使館メールは、時に政府のブレブレ方針に惑わされ錯綜しながら、みんなで正解を模索していくことになります(東京の○○の病院では××円で英文健康証明書作ってくれました!とか)。

 

 

3月24日:航空便の減便。在留邦人の脱出はいかに

 

3月下旬の夏ダイヤ改定に伴い、ANAとJALがジャカルタ便を大幅減便を発表。のちにガルーダもこれに追随します。日本もインドネシアも入国規制強化により搭乗者数が大きく減るので仕方ありませんが、航空会社にとっては受難の時代ですね…。

この頃から自分の回りでも「一時帰国します」という人が増えました。自分の意志でインドネシアへ来た現地採用者たちも含まれています。

ただ航空会社の良心というか社会的意義というか、普段なら片道運賃は通常料金しかなくかなり割高なのですが、この期間に限っては国外にいる日本人の救済のためか、片道運賃がかなり安くなっていました

それでもせっかく取った便が登場直前になってキャンセルされて振り替えに難儀したり、また日本でも成田などでの到着検疫(PCR検査)が厳しくなっていたころなので、その様子がタイムラインにもよく流れてきました。

 

 

4月10日:ジャカルタでPSBB(大規模社会制限)開始

 

4月10日、とうとうジャカルタで実質的ロックダウンが開始されます。その名もPSBB(大規模社会制限)。インドネシアでの流行語大賞に間違いなくノミネートされる単語です。

最も大きな影響は特定業種を除きオフィスへの出勤禁止バイク・車の乗車人数制限です。

これに違反した場合、個人には罰金100Jutaもしくは禁固1年法人には営業許可取り消しという厳しい処分が発表されました。

しかし実態としては、営業許可取り消しをくらった会社は数百社程度。自分の会社も、原則自宅勤務ですが出社したい場合はその限りではないという判断でした。個人でも、「助手席に乗っていた場合にくらう罰金は200,000ルピア程度」という話が流れ、実際に警察が発表した検挙数と罰金金額から想定してもそれくらいなのだと思います。

意外と規制が厳しくないことに気づいた市民は、PSBB開始から1か月が経過したレバラン休暇前の5月中旬頃から頻繁に街に出るようになり、各所で渋滞やバイクの2人乗りが散見されるようになりました。

その後、PSBBは2度延長され、6月4日が最終日となります。

 

4月ごろ:日系飲食店、生き残りを賭けデリバリーを開始

3月中旬から在宅勤務(インドネシアではWFH:Work From Homeと呼ばれています)が始まり、同時に日系飲食店が在宅勤務をする日本人向けにお弁当のデリバリーや持ち帰りサービスを始めました。

4月10日にPSBBが開始されてからはレストランは営業禁止になってしまい、デリバリーか持ち帰るのみ可能という状況になります。

それぞれの店が特色を活かしながら工夫を凝らしたお弁当はだいたい100,000ルピア程度で売られ、お店が営業できない中で貴重な収入源になっています。鶏肉が安いからなのか、どこの店でもチキン南蛮弁当はだいたいラインナップにあります。

またデリバリーの方法も、店側がGo-Sendを手配してくれたり、あるいは自分でGo-Sendを手配する必要があったり、持ち帰りオンリーのケースもあり、今回を契機にはじめてGo-Sendを使ってその利便性に気づいた人も多いのではないでしょうか。

個人的にはコロナ禍が去った後でも、お弁当デリバリーは続けていってほしいです。

 

4月23日:突如の民間航空機全停止(国際線含む)報道

 

PSBB中、最も在留邦人を賑わせたのはこのニュースではないでしょうか。

4月23日夕方、断食を直前にMudik(帰省)を規制しようと運輸大臣が突如民間旅客機の運航を翌日から停止すると発表しました。報道では国際線も含まれており、「日本への帰国が出来なくなった!」とタイムラインは大荒れに。それぞれが空港職員や航空会社に問い合わせたり情報の錯綜ここに極まりといった状況でした。

最終的には大使館が翌4月24日早朝3:50(!)のメールで、以下のように連絡がありました。

当館よりインドネシア政府に対し、我が国との国際定期旅客便の運航継続を主張した結果、インドネシア政府からは、国際定期旅客便は規制の対象外との説明を受けています。

日本大使館のみならず、各国の大使館からも問い合わせや抗議が殺到したようで翌日には国際線は運航継続、国内線も順次運航停止という緩和された措置が発表されました。

しかしこの件を契機に帰国する在留邦人は一気に加速したとみられます。

そして日本語とは便利なもので、そんなインドネシア政府に対してぴったりの言葉があります。

朝 令 暮 改

 

5月上旬:PSBBによる良い影響、空気がきれいになった

 

PSBBが始まり、街中を走る車はめっきり減り、ジャカルタ名物のえげつない渋滞もなくなりました。その結果、大気汚染が改善され空気がきれいになり、ジャカルタでも青空を見ることができるようになりました!

PSBB自体は経済停滞するし人々のストレスも溜まるので早く終わってほしいですが、またあの渋滞とどんよりした空が戻ってくると思うとこのままでもいいんじゃないかという気持ちも芽生えます。せっかく起きたこのムーヴメント、どうにかしてより良い方向へ活かしていってほしいです。

まぁ人々の我慢も1か月が限界でしたね。

 

 

5月23日:断食明け

 

1か月間の断食を終え、レバラン休暇に入ります。例年この時期は断食明けからの解放でお祭り騒ぎなのですが、PSBB期間中の今年もそれは変わりませんでした

彼らの騒ぎたい気持ちは分かるし(これまでPSBB&断食で例年以上に抑圧されていた)、それを止めるのはマイノリティーの外国人には無理なのも理解しています。

しかしこの晩は集まるなと言われてもモスクに人が集まり、ソーシャルディスタンスも厭わず濃厚接触をする人の多いこと。警察の規制もこの時ばかりは緩くなり、「レバランくらいは許される」と思っているのでしょうが、ウイルスには警察も神もレバランも関係ないです。

個人的にはレバランの夜の過ごし方を見て、自分を律することが出来る者が少ないインドネシアではまだまだコロナは収まらないなと感じました。

 

インドネシアにおける新しい生活様式と今後の見通し

改めて振り返ってみると政府とウイルスに翻弄された3か月間でしたが、個人的には一貫してインドネシアに残る!と決めていたので特に動揺や影響もありませんでした。

それでも政府の朝令暮改っぷりや「あちゃー、やっぱりインドネシアか…😫」みたいに思うことは以前と比べ増えました。

感染者数は減る兆候を見せず、レバランから2週間を迎えるここ数日が正念場です。それでもこれ以上経済活動を停滞させることが難しい以上、インフルエンザやデング熱のように「ウイルスと共存する新しい生活様式」を模索するほかありません。

インドネシアでも New Normal(新しい日常) という新しい生活様式が発表されました。オフィスでのサニタイザー設置義務や1m以上間隔を空ける必要があるといったものです。

そして最後に、個人的見解として今後予想される日常の変化を述べていきます。これが続いてくれればいいのにという個人的願望も込みです。

  1. テロが起きた後、モールに入る際は身体検査・手荷物検査が課せられたが、今後はそれに加えマスク着用と体温検査も課せられる。
  2. WFH(在宅勤務)の推奨。シフト制出勤の導入増加。
  3. オンライン飲み会(特に頻繁に会えない日本居住者と海外在住者との間で)の増加。バーチャルの関係強化(Twitter上の絡みなど)。しかしそれに伴いリアルで会えることの喜びも増えると思われる。
  4. 観光業(旅行)は正直わからない。抑圧から解放され一時的には旅行が増加するが、一方で運営会社はリスクヘッジで料金値上げが加速しそう。航空機に対する懸念は増えそう(感染リスクに加え、業績悪化でパイロット解雇→技術低下で事故危険性上昇などの恐怖)。
  5. 衛生観念の強化。手洗いうがいはもちろん、デリバリーフードではインシュロック必須など。
  6. 政府による個人識別管理と行動把握。
  7. 保険料の増加。
  8. 駐在員の減少。出張の減少、オンラインミーティングの増加。外注・委託の増加。