インドネシアで車を購入してみた

8月10日より、インドネシア国内最大規模の自動車展示・販売会「ガイキンド・インドネシア国際オートショー(GIIAS)2023」が開催されました。

この展示会では、多岐にわたる車種と最新の自動車技術が展示されており、最新モデルの購入も可能です。今回の展示会では特にハイブリッド・EV(電気自動車)の出展が目立ち、インドネシアでの今後の四輪市場の行き先を示しているようでした。

しかし、展示会での購入プロセスは少し複雑です(というかインドネシアでの車購入プロセスが日本人には馴染みないかと)。そこで、今回の記事ではGIIAS 2023での車購入プロセスを実際のプロセスと共に詳しく解説していきます。

展示会での車購入プロセス

1. ブースでディーラー担当者を捕まえる

展示会場には多くのディーラーが出展しています。

気に入った車を見つけたら、担当者を捕まえて購入についての詳細を聞きましょう。

あるいは担当者の方から話しかけてくる(営業をしかけてくる)ので、それを待ってもいいです。

若い綺麗なお姉さんから渋いオッサンまで担当者は様々いますが、この後車両引渡しやその後のアフターサービスまでこの担当者と付き合っていくことになりますので、見た目に騙されず経験豊富そうな方を選ぶほうがいいです。

2. 手付金を支払う

購入する意思が固まったら、その後の購入手続きを進めていくため、「本当に購入しますよ」という意思確認も含めて手付金をその場で支払います。

現金でもいいですが、今回は銀行送金(トランスファー)にしました。

金額はケースバイケースですが、今回は1Jutaでした。

3. 購入承諾書にサインし、控えをもらう

契約内容に問題がなければ、購入承諾書にサインし、控えを受け取ります。

この後はWAでのやり取りになっていきますので、この際受け取る控えが唯一の書類となり、車両引渡の際に必要となるので失くさないようにしましょう。

と思っていたら、別に控えは引渡の時に全く必要じゃなかったです。

車両を購入する際は、一括(Cash)か分割(Credit)の2パターンあります。外国人はCreditを認めてくれない場合もあるので、できればCashで購入するのが良いでしょう。

4. 必要書類を送る

WA経由で必要書類を送ります。今回は以下の4つの書類を送りました。

  1. パスポートコピー
  2. ITAS
  3. SKTT
  4. NPWP

ここまでが、実際にGIIASの展示会で済ませたことで、以降は後日担当者とのWAで進めていったプロセスになります。

5. 車両引渡時期の確認

今回購入した車両は在庫がすでに準備完了で、いつでも引き渡せる状態でした。

引渡しは、100%支払い完了から3営業日後になるとのこと。

一方で、車両登録証(STNK)は支払いから14営業日後の引き渡し車両所有証明書(BPKB)は支払いから3か月後の引き渡しとなります。ただしSTNKについては、エクスプレスフィー(550,000ルピア)を支払えば、5営業日で発行可能とのことでした。

車両登録証(STNK)とは?

車両番号(ナンバー)・所有者の名前・住所・車両の型番・車体番号・種類・車両の色などが載っています。運転時は原本の携帯が義務付けられているため、ダッシュボードなどに入れておきましょう。また、車両保険を掛ける際などにも提出を求められます。

車両所有証明書(BPKB)とは?

黒色の冊子で車両ナンバー・メーカー・車両の型番・車体番号の他、所有者(登録名義人)の名前、住所が書かれています。売却や中古で購入するとこの所有者が更新されていくことになります。

BPKBは有価証券のような扱いとなり、名義が違ってもこの原本を持っている人が所有者となるため、担保としても使われることがあります。普段は自宅の金庫などで厳重に保管しておきましょう。

6. 支払いプロセス

以前中古車を購入した際はトランスファーでしたが、今回はTokopedia経由の支払いと言われました。

担当者の不正防止や送金上限額を考慮してこのプラットフォームを使うことになっているのでしょうが、正直あえてTokopediaを介す意味が分からず、ここで若干不信感を持ってしまいました。(結局、そういうもんだと納得して進めることに)

ディーラーの出品ページから購入手続きを進め、プロモコード(これを入力することで最終的に合意した金額になる)を入力し、支払いを行います。

筆者は通常Tokopediaでの高額な支払いはBCAのVirtual Accountを利用しているのですが、モバイルバンキングから支払おうとすると1日の上限額に引っかかって支払いができません。

担当者からは「銀行窓口へ行って支払ってね~」と言われましたが、なんでそんな手間を押し付ける(しかも今さら言う)のかと憤慨ものでしたが、最終的にはインターネットバンキング(klikBCA Individuai)からBCA Virtual Accountの支払いができたので、窓口には行かずに済みました。

配送方法は「Custom Logistcis(0ルピア)」となっており、入金が完了すると即座に配送完了扱いとなります。そこで担当者からは「Selasai(完了)を押してね~」を言われます。

Tokopediaを使ったことがある人は分かると思いますが、Selasaiを押すと「現物を確認した上で取引完了」ということになるので、商品に不備があった場合のクレームが後々非常に面倒となります。

よって現物を確認するまではSelasaiを押さないのですが、これを押さないとベンダー側にTokopediaからの入金が行われません。また、ベンダー側から配送完了とされたら48時間以内にオートコンプリート(自動完了)となるので、結局今回はSelasaiを押さざるを得ませんでした。

7. 車両の引き渡し

STNKのエクスプレスフィーを送金し(そこはトランスファーなんかい)、購入申し込みをしてから10日間(8営業日)ほどで車両が届きました。

「引き取りに来るか、自宅へ配送するかどちらがいい?」と聞かれたので、自宅へ配送してもらいました。ただ配送というか、工場(ディーラー?)のおっちゃんが直接運転して持ってきました。レッカーで来ると思っていましたが、テストドライブがてらでしょうか(笑)

最初は仮ナンバーがついていましたが、別でやり取りしていたディーラーのお姉ちゃんが新しいナンバーを持ってきてその場で付け替え。

車両のチェックをしてテストドライブをしてほしいとのことだったので、お姉ちゃんを乗せ近所をぐるっと一周。特に問題もなく、そのまま受領証にサインし、「あとで今回の取引についてのレビューコールが掛かってくるから10点満点って回答しといてね♡」と言われ、引渡の儀は完了しました。

受け取った新車はいきなりEランプがついていたので、ネゴってガソリン満タンにしといてと言えばよかったと少し後悔しています。

GIIASで購入することのメリット

メーカーにもよりますが、展示会で購入するとディスカウントがつきます。よくショッピングモールなどで展示会をやっていますが、あそこで購入してもディスカウントがあります。

しかしながらGIIASはインドネシア最大の展示会ということで、各社ここでの成約に力を入れており、ディスカウントも通常より大きいことがあります。

今回購入したSuzukiは元々ディスカウントが大きいことで知られていますが、ショッピングモールでは車両価格304Jutaに対し24Juta(約8%)の割り引きが、GIIASだと35Juta(17%)となっていました。

一般的に付与されるプロモ

インドネシアでは新車を購入すると様々な特典(プロモ)が付与されます(中古でもありますが新車購入時ほど手厚くはありません)。

今回は以下のようなプロモを貰いました。

  1. Kaca Film Solargard Full kanan, kiri, depan dan belakang(日除けウィンドウフィルム)
  2. diskon sparepart 10 s.d 15%(スペアパーツ購入時の割引)
  3. garansi mesin 3th(エンジン不良の3年保証)
  4. Gratis Derek Selama 3 Tahun(3年間の牽引無料サービス)
  5. Gratis Emergancy Service 24jam Selama 3 Thn(3年間の24時間緊急無料サービス)
  6. garansi bateray 8th/160rb km(バッテリー不良の保証・8年/16万キロまで)
  7. undian jimny at 20/agust 2023(新型ジムニーの抽選権)
  8. Free Jasa Service s/d 50.000 Km (30 bulan)(修理等の無料サービス・30カ月/5万キロまで)
  9. Dongkrak(ジャッキ)
  10. P3k(救急ボックス)
  11. cover plat(ナンバープレートカバー)
  12. karpet buludru(車内カーペット)
  13. APAR (alat pemadam api ringan)(消火器)
  14. undian TV 50 inc diundi tiap 3bln(50インチテレビの抽選権)
  15. emoney 1.5jt (sudah masuk ke disckount)(電子マネー1.5Juta分、ただしすでに割引額35Jutaに込み9
  16. free oli(無料オイル交換)

購入は現金一括(Cash)か分割(Credit)か?

インドネシアで車の購入を検討される際は、皆さん考えられる議題です。

結論から言うならば、Creditはトータルの支払額がだいぶ多くなるので現在のキャッシュに余裕があるなら現金一括、余裕がないならそもそも車を買わない、というのが筆者の持論です。

上で少し説明しましたが、外国人でもITASがあればCredit購入も可能です。

Creditだと「Bunga 0%」など低利息を謳うこともありますが、保険が強制される他、分割購入手数料など徴収されるため、実質年利10%以上となります。

例えば上記の画像は、Creditで購入した場合の支払いシミュレーションとなります。現金ならば(304 – 24 = 280Juta)で購入できますが、2年分割だとトータル313Jutaとなります。

<計算式>頭金(DP)156,000,000 + 月賦 6,824,000 * 23(初月分は頭金に含まれているため) = 313Juta

仮に280Jutaに6Juta/年の保険を2年間かけたとしても、292Jutaで済みます。また通常Credit時に掛けられる車両保険は、1年目はAll Risk(保証制限なし)ですが、2年目以降はTLO(Total Loss Only:全損保証のみ)となります。

Creditの場合支払いを管理するのは銀行もしくは保険会社となるのですが、繰り上げ返済を認めていない場合や手数料を徴収することもあります。

なので個人的にはCreditよりもCashが良いかなと思っています。